独特の世界観に心を奪われる…大人の絵本5選(海外作品編)
明るくハッピーで分かりやすい絵本もいいですが、時には絵・ストーリー・世界観すべてが独創的な大人向けの絵本も読みたいもの。今回は、一人の夜にちょっと読みたくなるような、個性的な海外絵本作家の作品を5冊紹介します。
うろんな客 / エドワード・ゴーリー
独特な韻を踏んだ文章とモノクロの線画から、熱狂的なファンの多いエドワード・ゴーリー。自身「絵本の中で何人もの子供を殺してきた」というほど、子どもの死に関する作品が多く「残酷な絵本作家」と評される彼ですが、この「うろんな客」は過去作品の中でもめずらしく死に触れない作品。
ある家に突然やってきた、ペンギンのような不思議な生き物「うろんな客」。原文の世界観をまさに「翻訳」した、柴田元幸さんの短歌調の和訳が小気味よい。エドワード・ゴーリー最初の1冊におすすめ。
▼関連サイト
生前彼の住んでいた自宅は、一般公開されています。公式サイトはこちら↓(英語)
アライバル / ショーン・タン
世界各国で29の賞を受賞した、文字の一切ない絵本「アライバル」。戦争・難民問題を主題に、セピア色で描かれる架空の国、生き物、人々の生活。様々な苦難の中でもたくましく生きていく人々の感情・情景が1コマ1コマ緻密に描かれています。プレゼントにも最適(個人的には、タイトルが英語で描かれた原書のほうがインテリア的にもおすすめです!)
↓のブログで、こちらの作品についてより詳しくレビューされています。実際の絵も掲載されているので、気になった方は閲覧おすすめです。(版元に転載許可を取得されたそうです)
▼関連サイト
ショーン・タンの作品は、写実的なものより、ややコミカルでファンタジックな絵柄のもののほうが多い印象です。ぜひ公式サイトも御覧ください。
百年の家 / J・パトリック・ルイス
1600年代に建てられ長い間廃屋になっていた家が、1900年代に再び人が住むようになり、その後退廃と再生を繰り返していく100年間の物語(細かいですけど、実際は、百年の家ではなく400年の家なんですよ…!)。
物語は家視点で淡々と語られますが、20世紀の目まぐるしく変化する時代背景、たくましく生きる人々の営み・生命力・喜怒哀楽が、見開きいっぱい美しい色彩で描かれています。その時々で増改築されていく家・景観の変化は、何度見返しても素晴らしい。
▼関連サイト
J. Patrick Lewis | Children's Poet & Author
▼余談
話はそれますが、家の歴史にまつわる子供向けの絵本も紹介。こちらも移り変わる時代・人々の暮らしとともに歩んできた家のお話で、深い愛情を感じることができる1冊。お子さんと一緒に読むなら、こちらをおすすめします!
ジュマンジ / クリス・ヴァン・オールズバーグ
映画化もされた、アドベンチャー・ファンタジー作品。公園に捨てられていた謎のボードゲーム「ジュマンジ」。偶然拾った子どもたちがゲームを始めると、次々に奇妙なことが起こり始める。
物語は終始モノトーンで描かれており、タイトルの「ジュマンジ」という不穏な言葉の響きとあいまって、冒頭からなんとも言えない緊張感。美しい絵と、非現実の連続に「おもしろい!」「ワクワクする!」という書評も多いのですが、ミステリー・ホラー要素も共存する名作です。子供の頃に経験のある、多少あぶなっかしいけれどスリル満点な遊びを大人になって追体験するような、不思議な感覚になります。
続編「ザズーラ」もオススメ。
▼関連サイト
Home(Chris Van Allsburg公式サイト)
終わらない夜 /セーラ・L. トムソン
トリックアートの巨匠・ロブ・ゴンサルヴェスの作品に、想像力を刺激された作家・セーラ(サラ)・L. トムソンが詩を添えた絵本。一面の雪がふとんに、ベッドカバーが田園風景に…さまざまな夜の風景が、別の世界と溶け合って広がっていきます。
漆黒の夜空に舞い上がれそう、暗い廊下の向こうがどこかに通じていそう…そんな子供の頃に誰しもが想像したような光景の連続。忘れていた非現実を思い出し、ワクワクしてしまう。夜、明かりを落とした静かな部屋で、じっくり味わいたい1冊です。
他にも2作品、刊行されています。
いかがでしたか?ちょっとした時間に、何度でも楽しめるのは絵本のいいところ。ぜひお気に入りの1冊を見つけてみてくださいね。
大人にも薦めたい。国際アンデルセン賞受賞歴のある絵本作家7人と代表作
「児童文学への永続的な寄与」に対する表彰として贈られる国際的な賞・国際アンデルセン賞。「児童文学のノーベル賞」と呼ばれるほど権威のある賞で、国際児童図書評議会 (IBBY) によって隔年で授与されます。
今回は、過去の国際アンデルセン賞受賞経験のある絵本作家と、代表作を紹介します。
- 1970年 - モーリス・センダック(Maurice Sendak、アメリカ)
- 1980年 - 赤羽末吉(日本)
- 1984年 - 安野光雅(日本)
- 1998年 - トミー・ウンゲラー(Tomi Ungerer、フランス)
- 2000年 - アンソニー・ブラウン(Anthony Browne、イギリス)
- 2010年 - ユッタ・バウアー(Jutta Bauer、ドイツ)
- 2012年 - ピーター・シス(Peter Sís、チェコ共和国)
1970年 - モーリス・センダック(Maurice Sendak、アメリカ)
誰もが一度は見たことがある、世界的ベストセラー「かいじゅうたちのいるところ」をはじめ、80冊を超える著書を発表している絵本作家・イラストレーター。19世紀の古典的なイラストに影響を受けた、精密な描写が印象的です。
1980年 - 赤羽末吉(日本)
東京生まれ。22歳で満州国大連市に移住、絵画はほとんど独学で学ぶも、満州国美術展で数回入選しました。50歳『かさじぞう』で絵本作家デビュー。その絵は国内のみならず海外からも高い評価を得て、国内外で多数受賞されています。
1984年 - 安野光雅(日本)
島根県生まれ。美術のみならず、科学・数学・文学などにも造詣が深く、独創性あふれる作風が人気。淡くさっぱりとした色調ながら、精密に描かれた水彩画が大変美しいです。島根県にある安野光雅美術館では、絵画作品はもちろん、プラネタリウムや安野光雅さんのアトリエを再現したスペースなど、ファンにはたまらない展示が行われています。
1998年 - トミー・ウンゲラー(Tomi Ungerer、フランス)
トミー・アンゲラーとも紹介される、フランス生まれの絵本作家・イラストレーター。ベストセラー「すてきな三にんぐみ」をはじめ、数々の名作を生みだしています。どこか毒っ気のある設定、憎めない悪人、ただでは終わらないハッピーエンド…1冊読むとクセになる絵本たちです。
2000年 - アンソニー・ブラウン(Anthony Browne、イギリス)
イギリス生まれのイラストレーター・絵本作家。「すきですゴリラ」「どうぶつえん」で2度のケイト・グリーナウェイ賞を受賞しました。
2010年 - ユッタ・バウアー(Jutta Bauer、ドイツ)
ドイツ生まれのイラストレーター・絵本作家。2001年文と絵の両方を手がけた「おこりんぼママ」でドイツ児童図書賞大賞を受賞、2002年「いつもだれかが…」ドイツ児童図書賞の最終候補にノミネート。どこかユーモラスで愛嬌のあるキャラクターたちがじわじわきます。
2012年 - ピーター・シス(Peter Sís、チェコ共和国)
旧チェコスロバキア生まれ、現在はニューヨーク在住の絵本作家。新聞、雑誌、書籍の他にアニメーション映画の分野で幅広く活躍されています。公式サイトもとてもかわいらしいので、ぜひ覗いてみてください。
絵本関連の資格をまとめてみました。
いくら「絵本が好き!」といっても、ハクが付かないというか素人の域を越えないなぁ、と思い。絵本に関する資格にどういうものがあるかを調べてみました。(児童・幼児教育の資格など、絵本に関する知識を含む資格はあると思いますが、そういったものは除外し、あくまで絵本だけの資格に絞っています。)
- 絵本専門士(国立青少年教育振興機構)
- 絵本よみきかせマイスター(JAPAN絵本よみきかせ協会)
- 絵本よみきかせセラピスト(JAPAN絵本よみきかせ協会)
- 子育て絵本アドバイザー(日本子育て協会)
- 絵本コーチ(絵本コーチング事務局)
- 絵本セラピスト(絵本セラピスト協会)
- 児童図書相談士(絵本・児童文学研究センター)
- 絵本講師(絵本で子育てセンター)
- 最後に…どの資格も一朝一夕には取得できない。
絵本専門士(国立青少年教育振興機構)
公式サイト:絵本専門士 | 独立行政法人 国立青少年教育振興機構
資格区分:民間資格
資格取得条件:
全30コマの「絵本専門士養成講」授業において一定の成績を修めるとともに、全授業終了時の修了課題において絵本専門士として必要な資質・能力を満たしていると評価されること。
資格・講座概要:
絵本専門士とは、絵本に関する高度な知識、技能及び感性を備えた絵本の専門家です。
(中略)
絵本専門士の役割は、読み聞かせやおはなし会、ワークショップなど実際に本を使って行う取組み、絵本に関する知識をもって行う指導・助言、絵本に関する自らのネットワークを活かした人的・物的ネットワークなど幅広く、活動の場所も幼稚園や学校から図書館、医療機関まで様々です。
絵本の専門家として、絵本から子供や大人たちの心を豊かにしたいと思う方々の受講をお待ちしております。
受講資格:
- 子供や絵本に関連する資格を有する者
- 絵本に関わる実務について、原則として3年以上の経験を有する者
- 絵本に関わる活動に携わり、原則として3年以上の経験を有する者
- 絵本学や児童文学、美術について研究実績を有する者
受講期間:8ヶ月(全6回)
受講費用:50,000円
絵本よみきかせマイスター(JAPAN絵本よみきかせ協会)
公式サイト:資格認定講座一覧 - (社)JAPAN絵本よみきかせ協会 ~子どもと大人の可能性を同時に開く絵本の読み聞かせを全国へ~
資格区分:民間資格
資格取得条件:全4回の受講と、認定試験への合格
資格・講座概要:
- 一人一人の個性を引き出し生かす、親身な心からの指導に人気が集まっています。
- 独立マイスターのボランティアの仲間としての参加資格が与えられます。
- 協会主催イベントからお声がかかることがあります。
- 自分の今までわからなかった可能性に気づき、人生を大きく開く人が続々と現れています。
- 絵本を通し多くの友人ができて、生きがいが増えた方も。
絵本よみきかせマイスター®資格認定講座 - (社)JAPAN絵本よみきかせ協会 ~子どもと大人の可能性を同時に開く絵本の読み聞かせを全国へ~
受講資格:
- 景山聖子さんが講師をつとめるNHK文化センター青山教室の講座受講者(受講料22,291円+教材費1,080円)、もしくは認定資格のための基礎を学ぶ1日講座受講者(受講料18,000円)
- 同業者、プロの受講は、協会関連者の推薦がない限りNG
受講期間:4ヶ月間(4回)
受講費用:78,000円
絵本よみきかせセラピスト(JAPAN絵本よみきかせ協会)
公式サイト:資格認定講座一覧 - (社)JAPAN絵本よみきかせ協会 ~子どもと大人の可能性を同時に開く絵本の読み聞かせを全国へ~
資格区分:民間資格
資格取得条件:明記なし(講座受講?時期開催未定)
資格・講座概要:
この資格は、絵本を使い相手に寄り添い、癒やし・勇気づけ・輝かせてゆく「技術」を習得することを目指す資格です
(中略)
心理カウンセラーの技術と、絵本を使い1.5時間のワークショップを自分で創造し、進行できる技術を学びます。
絵本よみきかせセラピスト®資格認定講座 - (社)JAPAN絵本よみきかせ協会 ~子どもと大人の可能性を同時に開く絵本の読み聞かせを全国へ~
受講資格:明記なし(申込後、審査あり)
受講期間:3ヶ月間(8回)
受講費用:180,000円
子育て絵本アドバイザー(日本子育て協会)
公式サイト:子育て絵本アドバイザー認定制度について | 日本子育て協会 ~子育て絵本アドバイス講座開催・子育て絵本アドバイザー認定~
資格区分:民間資格
資格概要:
- 子育て絵本アドバイザー2級:子育て絵本アドバイス講座を開催することができる。1級認定講座の受講資格を得る。
- 子育て絵本アドバイザー1級:日本子育て協会が講師として基準を満たし推薦できる基準。子育て絵本アドバイス講座を開催することができる。子育て絵本アドバイザートレーナー認定講座の受講資格を得る。
- 子育て絵本アドバイザートレーナー:子育て絵本アドバイザートレーナー®2級認定講座の開催と資格認定が可能になる
資格取得条件:各認定講座を受講、認定試験に合格し登録すること
受講資格:子育て中の保護者や家族及び子育てに関わる人や関わりたいと思っている人
受講費用:未記載
絵本コーチ(絵本コーチング事務局)
公式サイト:絵本コーチング公式サイト
資格区分:民間資格
資格概要:
- 初級絵本コーチ:コーチング、絵本を読むときのコミュニケーション基礎スキルを有するコーチ
- 絵本コーチ:絵本コーチングの幅広いセンス・スキルを有する絵本コーチ
資格取得条件:各認定講座を受講、認定試験に合格すること
受講資格:絵本コーチの資格を取得し、活躍したい方(18歳以上)
受講費用・期間:
- 初級絵本コーチ養成ベーシックコース:8ヶ月間(8回)、136,000円
- 初級絵本コーチ養成アドバンスコース:7ヶ月間(7回)、136,000円
- 絵本コーチ養成講座は記載なし
- 認定・更新(2年に1度)ごとに3,500円、年会費10,000円が必要
絵本セラピスト(絵本セラピスト協会)
公式サイト:2017年の講座 お申込受付状況【絵本セラピスト®養成講座(東京、大阪、福岡、札幌)】 | 絵本セラピスト協会 EHON Therapist Association
資格区分:民間資格
資格・養成講座概要:
大人が絵本で癒されるのは何故でしょう?1冊の絵本を一人で楽しむだけでもOKです。しかし絵本を組み合わせたプログラムをグループで楽しむと、相乗効果が発揮され、心の距離もぐっと近づきます。絵本セラピー®の原理をしっかり学んだ「絵本セラピスト®」を育てます。
資格取得条件:
- 基本絵本セラピスト:
- 絵本セラピスト:
資格取得条件:認定講座を受講、課題をクリアすること
受講資格:
受講費用:
- 絵本セラピー基礎講座(基本絵本セラピスト):86,400円
- 絵本セラピー実践講座(絵本セラピスト):172,800円
児童図書相談士(絵本・児童文学研究センター)
公式サイト:児童図書相談士検定|絵本・児童文学研究センター
資格区分:民間資格
資格・検定概要:
現代の複雑な社会において、子どもたちの心をいかにケアするかは大きな課題である。そのためのひとつの窓口として書籍文化はかかせない。しかし、現今の出版洪水の状況下では良書の選択そのものが困難である。そこで子どもの年齢や家庭環境をも考慮しつつ、良書選択のアドバイスが必要とされる。そのアドバイスの基準として企画されたのが「児童図書相談士」検定である。
アドバイスと言っても単純なことではない。そのためには、書籍の知識のみならず、ある程度の発達心理学や深層心理学的観点、思考としての哲学性、さらに現在の国際化の状況を踏まえての「比較文化論」など、多様な観点を踏まえなければ現実的なアドバイスとはなりがたい。このような意味で数多くの読書相談士を養成することは現代の文化的課題として重要であり、急務の事業と考える。
また、上記の意味においての「児童図書相談士」は、子どものみならず、青年期・成人期・熟年期・老年期の各世代においても重要な役割を期待される。それは現代の世代構成を鑑みれば、自ずと生涯学習の観点が要求されるからである。そのため、「児童図書相談士」は、児童文化と生涯学習との接点を、今後、新たに創設される学会(「児童文化と生涯学習」学会)において模索・研究する中核を担う存在として期待されるものである。
- 3級(一般家庭向き)
- 2級(一般家庭向き+教職関連+図書館関連+その他)
- 1級(一般家庭向き+教職関連+図書館関連+センター基礎講座講師養成+その他)
資格取得条件:受験資格を満たし、各級ごとの筆記・口頭試問に合格すること
受験(入会)資格:
- 絵本・児童文学研究センター基礎講座全54回、絵本・児童文学研究センター特別講座(心理学系)を受講した者
- 大学・短大・幼保関連の専門学校卒以上。※課題論文の提出要
- 年齢・性別等は問いませんが、講座の内容上、18歳以上の方が望ましい。
受講(入会)費用:
- 受講会員:初回17,000円+(テキスト代金税)+月会費4,000円✕2年半
- 通信会員:初回22,200円+(テキスト代金税)+月会費9,200円✕2年半
受講期間:2年半(全54回、月平均2回)
絵本講師(絵本で子育てセンター)
公式サイト:http://www.ehondekosodate.com/youseikouza.html
資格区分:民間資格
資格・養成講座概要:
「子育てをするにあたり、いかに絵本の読み聞かせが必要かを学び、それを語り伝えることができる人材を育成するための講座です。受講者はここで、絵本と子育てに関する知識を深め、実際に自分で絵本講座や講演を開くための実践的なノウハウ(考え方・技術)を学ぶことになります。
資格取得条件:全スクーリングへの参加と、全課題レポート提出者
受講資格:
- 絵本で子育てをする活動の普及、読書推進に興味のある、満18歳以上の方
受講費用:86,400円
受講期間:11ヶ月(全6回)
最後に…どの資格も一朝一夕には取得できない。
- 講座受講で取得するものがほとんど。通学するスクーリングが基本。通信講座をやっているものは児童図書相談士のみ。
- 取得のための金額が高く、基本10万円程度見込む必要がある。最も安い絵本専門士で50,000円だが、受講資格の敷居が高く、一般人向けではない。
テキストを読んで試験合格で取得できるレベルの検定があれば、受けてみたかったのですが、そういった検定は絵本関連ではないようですね。ちょっと考えが甘かったようです。
楽しめるのは大人の特権…精巧・緻密なしかけ絵本
ひらくと絵が飛び出してきたり、向きを変えると違う絵が見えてきたり…見る人のハートをつかむ、しかけ絵本。最近はいろんなアイデアのしかけ絵本がありますが、今回は、大人だからこそ楽しめる、ちょっと凝ったしかけ・ストーリーの絵本を紹介します。
それぞれamazonリンク先で、本を開いたときの写真が掲載されています。気になった本はぜひチェックしてみてください!
不思議の国のアリス
ベストセラーにもなっていたので、ご存知の方も多いと思いますが、「不思議の国のアリス」しかけ絵本。子供の頃ディズニーアニメで見ていたのとは違う、グッとアンティーク感のあるイラストのアーティスティックな1冊です。
薬を飲んで大きくなってしまったところや、トランプの女王においかけられてトランプの舞うシーンなど、ページいっぱいの飛び出す仕掛けの迫力はもちろん、ティーカップなどストーリーのすみに施された小さな仕掛けも、非常に精巧に出来ています。(子どもに触らせたら破かれそうで怖いレベル!)
きちんとしたストーリーも改めて楽しむことが出来、まさに大人向けな1冊。
北斎 ポップアップで味わう不思議な世界
多くの人々に愛される江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎。私自身、何度か展示会も行っていて、画集も持っていますが、この本はまた別物!として持っています!
大胆で潔い構図が美しい北斎の絵は、平面でも立体的に描かれていますが、飛び出すしかけ絵本になると、その世界観がより際立ち、大変美しく感動を呼びます。表紙の「富嶽三十六景」や「鳳凰図屏風」をはじめ、北斎の有名な作品をさらに立体的に蘇らせたこの絵本は、たくさんの人に見てもらいたい1冊です!
フラワー・フェアリーズ(花の妖精たち)のお話
妖精の絵本を多く描かれている、シシリー・メアリー バーカーさんの1冊。原作(英語・右側)版のほうがより世界観が美しく感じるのでそちらをおすすめしたいのですが、ほとんど取り扱いが無いようなので、翻訳版(左側)を紹介します。
特筆すべきは絵・装丁の美しさ。前に紹介した2作品に比べ、飛び出すしかけ自体はそこまで派手ではないですが、みひらきいっぱいに広がる幻想的で優しく美しい世界は本当に癒やされます。大人の女性にぜひ読んでほしい1冊。
360°BOOK 富士山 Mount FUJI
絵本、というよりはインテリア的な1冊を紹介。表表紙・裏表紙をくっつけるように開くと、各ページがジャバラのように広がり、立体的な富士山が登場するようになっています。富士山をとりまく雲、ツル、おひさまもとても美しく、ギフトにも喜ばれること間違い無し。
地球・白雪姫のりんごの木版もありますが、富士山が一番おすすめです!
もうひとつの研究所パラパラブックス
手のひらにおさまるような、小さななサイズのパラパラ絵本。パラパラ絵本といってもこちらは大人向けなリッチ絵本。
光の玉がモミ林の中をとんでいく「クリスマスの足音」、コガネムシ?が穴(本当に穴が開いている)を掘り進んでいく「むしくいさま」、モネの世界観を蘇らせた「パラパラ名画 Monet / モネ 印象、日の出 」など、それぞれのパラパラ絵本に新しい「しかけ」がほどこされています。
大人も子どもも夢中になる!博物館みたいな絵本
珍しい生き物、世界の文化、絶景・珍景…みんな大好き博物館系コンテンツ。ワクワク・ドキドキを絵本で楽しめるなんて素敵ですよね!ちょっと値が張りますが、いつ、何回めくっても楽しい体験はプライスレス。今回はそんな大型本を紹介します。
- MAPS(マップス): 新・世界図絵
- UNDER EARTH, UNDER WATER(アンダーアース・アンダーウォーター): 地中・水中図絵
- アニマリウム ようこそ、動物の博物館へ
- ワンダーガーデン 生命の扉―5つの楽園、多彩な生きもの
- 番外編:奇界遺産
MAPS(マップス): 新・世界図絵
ポーランドの人気絵本作家さんご夫婦の著書。多くの本屋さんで紹介されており、ご覧になった方も多いと思います。世界中をすみずみまで調べ上げ、3年かけて描かれた超大作。食べ物や服装などの文化、偉人や歴史、生き物…どのページにも細かくぎっしりつまっています。小さなお子さんから大人まで長く楽しめる1冊です。
UNDER EARTH, UNDER WATER(アンダーアース・アンダーウォーター): 地中・水中図絵
前述「MAPS」と同じ絵本作家さん夫婦の新作。1冊の本のおもて表紙・うら表紙それぞれが地中のお話「アンダーアース」と、水中をお話「アンダーウォーター」という構成になっています。言いたいことはいろいろあるけど、百聞は一見にしかず。どちらから読んでも楽しい。公式サイトもあるので、買う前にこちらも見てみてください!
アニマリウム ようこそ、動物の博物館へ
内容について、↓のように紹介されているとおり
ようこそ「アニマリウム」へ。この博物館は24時間、365日開いていて、子どもから大人まで、あらゆる来館者のために、160種を超える動物たちの素晴らしいコレクションが展示されています。
この絵本に描かれている生き物は、美しく精密・かつ正確に描かれており、動物の進化・地球の生物の多様性を、わかりやすい説明で学ぶことができます。
大型本のページいっぱいに描かれた写実的な絵たちは、圧巻の一言。ぜひ実物の本で体験してみてください。
ワンダーガーデン 生命の扉―5つの楽園、多彩な生きもの
5つの楽園・熱帯雨林、サンゴ礁、砂漠、森林、山脈を舞台に、生き物の本当の姿を描いた、図鑑絵本の傑作。アカコンゴウインコ、メキシコオオカミ、ユキヒョウなど、様々な動物が登場します。米国Amazon.comにて、2015年度子供の本ノンフィクション部門ベスト20にも選ばれた1冊。美しい絵には超癒やされます。
番外編:奇界遺産
絵本ではなく写真集ですが・・・世界で唯一の洞窟村、マチュピチュを超える天空の城塞、フリーメーソンが作った城…フォトグラファー佐藤健寿さんが、過去五年に渡って世界を股にかけ、撮影・取材した世界の奇妙なモノ写真集。
ページをめくるたび、その奇怪さにグイグイ惹きつけられます。※ものすごい興味深いのですが強烈なので、お子さんは怖がるかも。一緒に見る場合はご注意を…!
日本の絵本賞をまとめました
あまりまとまっているところが無かったので、メモも兼ねて書いてみます。創設時期の古い順。随時更新していきます。
日本絵本賞
「絵本芸術の普及、絵本読書の振興、絵本出版の発展に寄与する」ことを目的に創設。対象絵本は、2015年10月から2016年9月までに、日本において出版された絵本。
主催:(公社)全国学校図書館協議会、毎日新聞社
創設時期:1995年(前身の「絵本にっぽん賞」は1978年創設)
公式サイト:日本絵本賞公式サイト
過去の受賞作品:
過去受賞作品について、別記事で詳しく書いています。↓
講談社 絵本新人賞
公募新人賞。応募作品は原則として、幼児・児童を読者対象とした自作未発表の創作絵本作品で、単行本として絵本を商業出版した実績のある方は応募できません。
主催:講談社
創設時期:1979年
公式サイト:絵本新人賞 | 講談社絵本通信
過去の受賞作品:
MOE絵本屋さん大賞
全国の1900人の絵本専門店・書店の児童書売り場担当者にアンケートを実施、その年に最も支持された絵本30冊を決定しています。
主催:月刊絵本雑誌「MOE」(白泉社)
創設時期:2008年
公式サイト:絵本屋さん大賞|絵本のある暮らし|月刊MOE 毎月3日発売(なぜか2014年の第7回から更新されていません…)
過去の受賞作品:
be絵本大賞
未発表の絵本を募集し、応募作品からグランプリ作品を選出し、出版、映像化を目指すプロジェクト。講談社絵本新人賞とは異なり、作家自身の実績は問わないようです。
主催:フジテレビKIDS、BSフジ、ポニーキャニオン、扶桑社
創設時期:2008年
公式サイト:be絵本大賞
過去の受賞作品:
ようちえん絵本大賞
回によって選考基準は異なるようですが、最も最近の第8回は、"子どもに読み聞かせたい絵本"、"お父さん・お母さんに読んでほしい・お勧めしたい絵本"を選考の基準として、(公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構・調査広報委員会が、過去5年以内に出版された絵本の中から選考されたとのこと。
主催:(公財)全日本私立幼稚園幼児教育研究機構
創設時期:2009年
公式サイト:ようちえん絵本大賞:幼児教育の調査・研究 - 私立幼稚園.com
過去の受賞作品:
リブロ絵本大賞
リブロ・よむよむ・パルコブックセンター各店の児童書担当者が「広く紹介したい」「強くおすすめしたい」と思う作品を選ぶ良書発掘企画。
主催:株式会社リブロ
創設時期:2010年
公式サイト:リブロ絵本大賞とは? - スペシャル - リブロ | LIBRO | よむよむ | パルコブックセンター
過去の受賞作品:
えほん大賞
応募作品は自作未発表作品に限る、公募賞。絵本の公募賞ではめずらしく1年に2回(4月・10月)開催されています。
主催:文芸社
創設時期:2011年
公式サイト:第12回えほん大賞 - 文芸社
過去の受賞作品:
今勢いのある絵本作家さんと代表作|ヨシタケシンスケ、のぶみ他
絵本は子どもだけのものじゃない。大人だって楽しめる素敵なモノ。過去3回MOE絵本やさん大賞第1位を受賞したヨシタケシンスケさん、情熱大陸に出演されたのぶみさんはじめ、独自のスタイルで人々をワクワクさせる絵本作家さんを紹介します。
個性的なイラスト、文句なしに面白い展開。ぜひお気に入りの作家さんを見つけてみてください。
ヨシタケシンスケさん
▼こんな人
1973年神奈川県茅ヶ崎市生まれの、絵本作家・イラストレーター。(参照元:ヨシタケシンスケ - Wikipedia)
記憶に新しい、第9回MOE絵本屋さん大賞「もう ぬげない」で第1位だけでなく
- 第6回MOE絵本屋さん大賞「りんごかもしれない」(デビュー作)で第1位
- 第8回MOE絵本屋さん大賞「りゆうがあります」で第1位
と、なんと過去3回もMOE絵本屋さん大賞で1位を獲得されている、今もっともアツい絵本作家さん。
▼代表作
ヨシタケシンスケさんの絵本は、どれもアイデアがぎっしりつまったユーモアあふれる作品。
個人的なオススメは「りんごかもしれない」。男の子が食卓にあったりんごから、めくるめく想像の翼を広げて…とんでもない可能性を探る妄想の旅。想像力があれば、りんご1つで物語が無限に生まれるんです。
▼公式サイト
ヨシタケシンスケのスタンプもあります - クリエイターズスタンプ
のぶみさん
▼こんな人
1978年東京都品川区生まれの、絵本作家。少年時代はいじめや不登校を経験し、高校時代には「池袋連合」というチーマーのトップだったこともある、波乱万丈の経歴をお持ちです。
ほんわり温かみのある作画は、絵本だけでなく、Eテレ(NHK教育テレビジョン)の「みいつけた!」の「おててえほん」、「おかあさんといっしょ」の「よわむしモンスターズ」など、お子さんがいらっしゃるご家庭では超おなじみのはず。
脚本家・宮田健吾さんとともに、東日本大震災の復興チャリティーアイドル(ゆるきゃら)「あたまがふくしまちゃん」を作成。被災者の支援に取り組まれています。
引用元:福島県の復興チャリティアイドルゆるキャラ『あたまがふくしまちゃん』オフィシャルサイト
▼代表作
のぶみさんの大傑作で、大反響を呼んだ「ママがおばけになっちゃった!」は、なんと発売初日に増版がかかるという超話題作。(詳しくはこちら→のぶみ最高傑作『ママがおばけになっちゃった!』53万部の感動レター|今日のおすすめ|講談社BOOK倶楽部)
個人的なオススメは「ママのスマホになりたい」。あたたかみのあるイラストに、アイロニーや現代風刺要素もある、深いストーリーが刺さります。ぜひママに読んでもらいたい1冊です。
▼公式サイト
絵本作家のぶみ(@nobumi2010)さん | Twitter
tupera tupera(ツペラツペラ)
▼こんな人
「かおノート」でおなじみ、亀山達也さん・中川敦子さんのアートユニット。絵本やイラストレーションをはじめ、工作、舞台美術、アニメーションなど、多岐にわたりご活躍されています。
Eテレ「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションを手掛けられており、ノージーやシナプーはじめ、カラフルでワクワクする、特徴的なデザインに、くぎ付けになってしまう親御さんも多いはず。(私ももちろん大好きです…!)
▼代表作
付属のシールを自由に貼って、様々な「かお」が表現できる「かおノート」シリーズ、第18回日本絵本賞読者賞を受賞した「しろくまのパンツ」も有名ですが、個人的なおすすめは「うんこしりとり」。「〇〇のうんこ」でひたすらしりとりする絵本なんですが、シュールで思わず脱力する感じが、リフレッシュに最適ですw
▼公式サイト
tupera tupera (@tuperatupera) | Twitter
鈴木のりたけさん
▼こんな人
1975年静岡県浜松市生まれ。グラフィックデザイナー、イラストレーターを経て、絵本作家としてデビューされ、「ぼくのトイレ」で第17回日本絵本賞読者賞を受賞。
端的なタイトル、印象的な表紙。ストーリーもユニークでありながら、細部まで特徴を捉え、考えられて描かれている各ページの構図がすばらしい、知的な印象の作家さん。
▼代表作
有名な「ぼくの〇〇」シリーズ、「しごとば」シリーズはぜひ手に取っていただきたい絵本。
個人的に紹介したいのは「とんでもない」。↓の4冊の並びからも、はなをほじくっているライオンの表紙が異質なのが伝わると思いますが、いきものそれぞれならではのポジティブな世間からの誤解と、実態をユーモアたっぷりに描いた1冊。
じぶんに ないものは よくみえるけど
あったら あったで いろいろ たいへん
さて ほんの つづきでも よもうっと
(本文より)
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鈴木のりたけ (@noritakesuzuki) | Twitter
工藤ノリコさん
▼こんな人
1970年神奈川県生まれの、絵本作家・漫画家さん。「ノラネコぐんだんおすしやさん」第9回MOE絵本屋さん大賞で第3位に。映像作家で旦那様の工藤利幸と「ノラネコシリーズ」のPVを作成・youtubeで公開されています。
工藤ノリコさんの絵本の魅力は、ニワトリ、ネコ、ペンギン…愛嬌たっぷりの登場人物(動物)たちはもちろん、日常が舞台なのにそこで展開する非日常のストーリーというギャップと、見開きページいっぱい緻密に描かれたイラスト。
▼代表作
大人気「ノラネコぐんだん」「ピヨピヨ」シリーズはもちろん、今回紹介したいのは「セミくんいよいよこんやです」。ある暑い夏の日、地中で暮らすセミくんの家に、1本の電話がかかってきます。虫たちの小さなドラマ、工藤ノリコさんが描く、ユーモアたっぷりの「セミの羽化」、ぜひ味わってみてください。
▼公式サイト
工藤ノリコ (@Noriko_Kudoh) | Twitter
ミロコマチコさん
▼こんな人
1981年大阪府枚方市生まれの、画家・絵本作家さん。京都精華大学在学時に児童文学を学ばれ、2013年、絵本「オオカミがとぶひ」が第18回日本絵本賞大賞を受賞されています。
イラストレーター・藤枝リュウジさんとともに、Eテレ「コレナンデ商会」のアートディレクションを担当されており、お子さんのいらっしゃるご家庭では記憶にある方も多いハズ。
▼代表作
愛猫家で、動物・植物が多く登場するミロコマチコさんの絵本。日本絵本賞大賞を受賞された「オオカミがとぶひ」はもちろん、生き物を独特の感性で描いた作品は、どれもオススメ。個人的に紹介したいのは、「ぼくのふとんはうみでできている」。ネコとふとんに入る男の子、徐々に眠りに落ちていく様が海に浮かんでいるよう…夢の世界へ入っていくと、さまざまな動物が現れます。大人も子どもも想像力が刺激される1冊。
「オオカミがとぶひ」他、日本絵本賞受賞作品については下記エントリーで紹介しています。↓
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展覧会・作品のお知らせはもちろん、美しい絵がたくさん掲載されています。ファンの方必見!