とりどりえほん

絵本好きのWebディレクターが、毎回テーマにそって、絵本を数冊紹介していくブログです。

独特の世界観に心を奪われる…大人の絵本5選(海外作品編)

明るくハッピーで分かりやすい絵本もいいですが、時には絵・ストーリー・世界観すべてが独創的な大人向けの絵本も読みたいもの。今回は、一人の夜にちょっと読みたくなるような、個性的な海外絵本作家の作品を5冊紹介します。

 

うろんな客 / エドワード・ゴーリー

独特な韻を踏んだ文章とモノクロの線画から、熱狂的なファンの多いエドワード・ゴーリー。自身「絵本の中で何人もの子供を殺してきた」というほど、子どもの死に関する作品が多く「残酷な絵本作家」と評される彼ですが、この「うろんな客」は過去作品の中でもめずらしく死に触れない作品。

ある家に突然やってきた、ペンギンのような不思議な生き物「うろんな客」。原文の世界観をまさに「翻訳」した、柴田元幸さんの短歌調の和訳が小気味よい。エドワード・ゴーリー最初の1冊におすすめ。

▼関連サイト

エドワード・ゴーリー - Wikipedia

生前彼の住んでいた自宅は、一般公開されています。公式サイトはこちら↓(英語)

Welcome | edwardgoreyhouse

アライバル / ショーン・タン

世界各国で29の賞を受賞した、文字の一切ない絵本「アライバル」。戦争・難民問題を主題に、セピア色で描かれる架空の国、生き物、人々の生活。様々な苦難の中でもたくましく生きていく人々の感情・情景が1コマ1コマ緻密に描かれています。プレゼントにも最適(個人的には、タイトルが英語で描かれた原書のほうがインテリア的にもおすすめです!)

↓のブログで、こちらの作品についてより詳しくレビューされています。実際の絵も掲載されているので、気になった方は閲覧おすすめです。(版元に転載許可を取得されたそうです)

kutabirehateko.hateblo.jp

▼関連サイト

ショーン・タンの作品は、写実的なものより、ややコミカルでファンタジックな絵柄のもののほうが多い印象です。ぜひ公式サイトも御覧ください。

ショーン・タン - Wikipedia

http://www.shauntan.net/

百年の家 / J・パトリック・ルイス

1600年代に建てられ長い間廃屋になっていた家が、1900年代に再び人が住むようになり、その後退廃と再生を繰り返していく100年間の物語(細かいですけど、実際は、百年の家ではなく400年の家なんですよ…!)。

物語は家視点で淡々と語られますが、20世紀の目まぐるしく変化する時代背景、たくましく生きる人々の営み・生命力・喜怒哀楽が、見開きいっぱい美しい色彩で描かれています。その時々で増改築されていく家・景観の変化は、何度見返しても素晴らしい。

▼関連サイト

J. Patrick Lewis | Children's Poet & Author

▼余談

話はそれますが、家の歴史にまつわる子供向けの絵本も紹介。こちらも移り変わる時代・人々の暮らしとともに歩んできた家のお話で、深い愛情を感じることができる1冊。お子さんと一緒に読むなら、こちらをおすすめします!

ジュマンジ / クリス・ヴァン・オールズバーグ

映画化もされた、アドベンチャー・ファンタジー作品。公園に捨てられていた謎のボードゲーム「ジュマンジ」。偶然拾った子どもたちがゲームを始めると、次々に奇妙なことが起こり始める。

物語は終始モノトーンで描かれており、タイトルの「ジュマンジ」という不穏な言葉の響きとあいまって、冒頭からなんとも言えない緊張感。美しい絵と、非現実の連続に「おもしろい!」「ワクワクする!」という書評も多いのですが、ミステリー・ホラー要素も共存する名作です。子供の頃に経験のある、多少あぶなっかしいけれどスリル満点な遊びを大人になって追体験するような、不思議な感覚になります。

続編「ザズーラ」もオススメ。

 

▼関連サイト

ジュマンジ - Wikipedia

Home(Chris Van Allsburg公式サイト)

終わらない夜 /セーラ・L. トムソン

トリックアートの巨匠・ロブ・ゴンサルヴェスの作品に、想像力を刺激された作家・セーラ(サラ)・L. トムソンが詩を添えた絵本。一面の雪がふとんに、ベッドカバーが田園風景に…さまざまな夜の風景が、別の世界と溶け合って広がっていきます。

漆黒の夜空に舞い上がれそう、暗い廊下の向こうがどこかに通じていそう…そんな子供の頃に誰しもが想像したような光景の連続。忘れていた非現実を思い出し、ワクワクしてしまう。夜、明かりを落とした静かな部屋で、じっくり味わいたい1冊です。

 他にも2作品、刊行されています。

 

いかがでしたか?ちょっとした時間に、何度でも楽しめるのは絵本のいいところ。ぜひお気に入りの1冊を見つけてみてくださいね。